今日を一言で言うなれば「春がきていた」。 早朝、濃い霧に覆われた羅臼を出発。霧の匂いに季節の変化を感じる。 根北峠停車帯に、釧路・中標津・別海・標津から集合した面々が揃う。車を乗り合わせ、海別岳麓に降り立つ。そこに斜里、そして遠くは紋別からのメンツも揃い、出発の準備を整える。そこに T 田氏とサンディがお見送りに来てくれていた。全身でみんなに挨拶、行く気満々のサンディに、君今日は行けないみたい、また今度ね、と残し出発。
濃霧の羅臼から打って変って快晴。今日は汗ばみそう、と思いながら歩き始めることものの 5 分で汗が垂れる。あぁ、そういえばもう春だった、と気づく。春用の帽子を忘れ、せめて顔だけでも…とたまたま持っていたバンダナを巻きつけるものの、かなり息苦しい。えーい、これも修行だ。 7 時半近くに出発した麓から林道沿いに休憩をはさみながら林内を登ること約 2 時間。林内をくぐり目の前が開けたとき、雲ひとつない青空に頂がそびえていた。かっこいい。あそこに立てるのだ。よし!と気合を入れなおす。しかしここからだった。目の前に見えているものを目指すときほど、なかなか到達しないことに気づかされる。何度も息を整え立ち止まるたび、「ドッドッド…」の胸の音がなかなかうるさい。苦しいときは長く感じるもので、でもしかし頂上にたったとたん、そんなことは微塵も忘れてしまう。だって眼前には、知床連山はもちろん爺々岳までくっきりの国後島から、斜里岳、藻琴山、雌阿寒・雄阿寒、そしてオホーツク海沖に残る流氷まで見渡せているのだから。展望、最高。 そして極めつけは、というかこれをしたいがために登っていたはずだった、滑走。登りはお肌の敵だと恨みもした日差しが、斜面をちょうど良く緩めてくれていた。軽いザラメ雪が最高に気持ちいい。ターンの切り替えに聞く、“シャバー”という音に、春の雪を感じる。 楽しいときはあっという間で、いつのまにか目の前はもう樹林帯。ゆっくり休憩をとりながら帰路へ。休憩中の話題は、夏場のシーカヤックや沢登りなど。あれ?みなさんもう気持ちはすでに??そっかー、そういえばもう春でしたもんね。 樹林でさえずる小鳥や、沢に吹いたミズバショウやフキのとう、そして、覆いきれず日焼けしてしまった首に春を感じずにはいられないのでした。 登頂、滑走、そして全員無事下山でき、楽しく充実した一日でした。(後藤)
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