山スキーお散歩会

2012.4.8 知床岳(H850まで)

天気
晴れ
参加者
佐々木、渡辺、森山、小川、山本、山中、笠井、中泉、三宅
所要時間
7時間
ルート
相泊〜H850〜相泊

爆弾低気圧も去り今日は絶好の登山日和。朝6時集合が30分も前に知床岳アタックチームは殆ど集合、ひとりが10分前に到着して準備しているにもかかわらず肩身が狭そう。なんだかんだで定時に出発する。
先週のぐちゃぐちゃ雪は打って変わって固い締まり雪、いやがうえにもピッチは上がり3時間もかからずH650大壁の下に到着。ここでゆっくりアイゼンに履き替えスキ-トラ-ゲンする。
ボ-ド組4人は先行、見上げると途中で合流して我々を追い抜いて行ったアスリ−トYさんはすでに100mほど上部の壁に取り付いている。ボードに背に、足元はアイゼンでなくてスノウシュ−とストックでガンガン登っていく。なんたって凄すぎる。同じく若手ボーダ−の若手Y君もアイゼンとピッケルでそのあとに続くが斜面にかぶりすぎてかなり難儀している模様。これも途中で合流した網走の知人の二人組がスキ-を背にしてあずっているY君を追い越し、こぶの向こうに消えた。我々の後ろには東京からのガイドツア-の一行10人が腰をおろし、混雑する急斜面が空くのを待っている。
オ−ッという声に振り向くとNボーダ−がずり落ちているがすぐストップして事なきを得る。
シ−トラして150mくらいから上のステップまでの50mは徐々に斜度を増し45度を超える。後続メンバ-のためにピッケルで足場を切りながら進む。目前こぶのステップまであと20mくらいか、ひょいと右斜め下を見ると自分と並行して登ってくるボーダ−君のバランスがどうもおかしい。カットした足場に乗るようにと指示しながらなおカッテイングを続ける。ザッという音と同時に彼が滑落し始めた。必死にピッケルで抵抗しているが体が変えらず、もんどり打って落ちてゆく。50m下の灌木のボサに突っ込み停まったかと思いきやさらにずるずる足を下に落ちていって視界から消えた。緩斜面を登りだした後続のメンバ-の視線が向けられてた先に停止したことを知る。約170〜80mの滑落。後続の2.3人が走り寄って行くのを確認して、すぐさまバックステップで下山開始。佐々木が停止地点に到着するころ彼はメンバ-に付き添われてなんと自力歩行で安全な位置まで移動してきた。みると左肩が不自然な形で落ちており肩の脱臼は明らか。痛さに顔をしかめつつもショックはなく、落ち着いた会話ができる。もうひと安心。体のあちこちを静かに動かして点検するが肩以外は特に問題なし。心配された足も全く大丈夫。風もなく日照が温かくてみんなでゆっくり手当できるのが助かる。ザックに座らせて、とにかく痛みの和らぐポジションをみつけてクッションを調整しながらテ−プで腕をつってさらにテープで胴に柔らかめに固定する。進められた水分を飲み、おにぎりを食べれるまでに回復してからいよいよ下山開始。片手ストックとスノウシュ-でゆっくり歩く彼を取り囲みながら雪面は緩んできて、しかもぬかることもなし。徐々に足取りはしっかりしてきて歩は進み、13時すぎには相泊に無事帰着できた。
早速整骨院を営むMさんに連絡、すぐ連れて来いとのこと、これも散歩会員で仲間内の柔道整骨士Mさんがみんなが見ている前でえいやっと外れた肩をはめるとあっけなく痛みはひき、朝一で羅臼診療所の受診とMさんの再診を指示されて、中標津の整形に転送する必要もなしとのことである、本人を交えてしばらくそこでお茶を飲みながらみんなで冗談を言い合って笑いあうことができた。
翌日佐々木が同行して朝一で受診して、腫れもなく、レントゲンの結果も骨や筋幕にまったく異常はなしと診断されました。夜はよく眠れたし痛みもなかったと
いうことで、午前中には職場に復帰できた次第です。思わぬアクシデントでしたが皆さん現場でのご協力で事なきを得ました。ほんとにありがとうございました。

さて反省点ですが、チームとしての実力はともかく、どうも気になることがひとつ。それは急斜でのボ-ド班のアイゼン登高のバランスの悪さ、それで今朝がた彼の家に様子見がてら伺ってアイゼンと靴の関係を見せてもらいました。やはりアイゼンの横幅がボ-ド靴のそれより狭くて(つまり靴幅が極端に広いため)アイゼンのサイドの爪が効かせられない状況がみてとれました。特に固い急斜では「ハ」の字登高や斜登高を強いられますが、サイドの爪を意識して登ります。もちろん雪面になるべくフラットにして一本でも多くの爪で氷を咬ませるのが原則ですが。
それで彼がカットしたステップのルートにトラバスをしていた途中(5m位か)にスリップした理由が思い当たります。本人に聞いてみると横や斜めに移動するのが滑りそうで非常に怖かったということでした。このことが要因の一つとして考えられないでしょうか。今までの山行でのアイゼン歩行は尖峰にしろ南斜里にせよ固い斜面はわずかしかなく、ボ-ドブ−ツプラスアイゼンでも難なく突破できていたが、自分も気づかず見過ごされていたのではないか。わがボード班の皆さんはいろいろ工夫してアイゼンを加工してブ−ツにあわせているようですがその辺の感じとしてはどうでしょうか。靴に合わないアイゼンは絶対危険なので対処を考えていかなければなりません。
当日の天候は時間を追うごとに快晴に向かい、風は無風に近くこの時期としては雪は固く絞まってはいたものの、アイゼンは爪全体が埋まる程度の固さで、条件としてはけして悪くない状況にあったことは確かです。(佐々木)




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